高速道路の「2輪車定率割引」がスタート、SSTRで活用する場合の留意点などを紹介します。

いよいよ4月2日(土)より高速道路の「2輪車定率割引」がスタート!

SSTRライダーの皆さんこんにちは。

今頃皆さんは「今年はどんなコースにしようか」と、あれこれ知恵を出しながらルーティングをされているのではないかと思います。

そんなタイミングで先日3月25日、NEXCO3社(東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社)から「2輪車定率割引(以下「定率割」といいます)」の実施が正式に発表され、その概要も明らかになりました。

いろいろ調べてみると利用の方法には「コツ」を心得えておく必要があるようなので、ここではSSTRでこれを利用する場合を念頭に、定率割を利用する場合の留意点を紹介し、いくつか例を挙げながら有効な使い方を考えていきたいと思います。

昨年までの「ETC2輪車ツーリングプラン」との違いは?

今回の「定率割」は、2輪車の利用促進や地域の活性化等を目的とし、2022年4月2日(土)~11月27日(日)の土曜日の間、ETC車載器を搭載した2輪車を対象に、NEXCO3社と宮城県道路公社が管理する高速道路(一部を除く)の通行料金を土日・祝日に限って37.5%割引にするものです。

(割引はクレジットカードの引き落としの時に実施され、料金所での表示はETCの2輪・軽自動車の一般料金が表示されます。)

これまでNEXCO各社より発売されてきた「ETC2輪車ツーリングプラン」とは異なり、エリア別の割り当てがないのが特長。

「エリアを跨いでの利用が不便」とも言われたETC 2輪車ツーリングプランでしたが、国内の高速道路をおおむねシームレスに使えるのが「定率割」の最大の利点と言えるでしょう。

※図はクリックすると拡大します。

ただし、「ETC装着車ユーザーの事前予約制」はこれまでと変わらりませんが、「土日・祝日限定」・「1走行100㎞以上の利用に限る」という条件があり、さらに「適応外のルートもある」というのが、「定率割」特有の留意点となるでしょう。

1走行100㎞以上が割引の対象、これにまつわる条件とは?

例えば(関東でいえば)東京⇔箱根などのメジャーなツーリングルートであっても、1本の連続走行が100㎞に満たなければ割引が適応になりません。

ですので、SSTRのルーティングに高速道路を組み入れる場合は、予めマップアプリなどで区間距離を把握して割引が適応になるかどうか把握しておく必要があります。

ちなみにNEXCO西日本が「二輪車定率割引 距離・料金検索」というツールサイトを設けているので、これを有効に活用すると良いでしょう。(全国対応)

対象外の高速道を経由すると、距離加算が無効になるケースも

今回の「定率割」では、以下の道路が割引の適応外となります。

①第三京浜道路

②横浜新道

③横浜横須賀道路

④第二阪奈道路

⑤第二神明道路

⑥関門トンネル

⑦沖縄道

⑧※東京湾アクアライン※東京湾アクアラインは、(もともと割引料金なので)二輪車定率割引の適用外ですが、走行距離の判定には含まれます。

 そして、これらに加えて首都高速や名古屋高速、阪神高速といった都市高速道路も対象外となりますので、定率割のご予約に際し、これらの高速を経由される場合には注意が必要です。

例えば、「茨城方面から中央道方面へ抜けて山梨から下道でアルプス越えを」という方もいらっしゃると思いますが、下道を多めにする例として、、常磐道を茨城県の谷田部から利用し、首都高経由で中央道に乗り、山梨県の大月に向かったとしましょう。

この場合ですと、谷田部~三郷ICは約30㎞あり、そこから中央道の起算が始まる三鷹料金所までは約60㎞、さらに大月ICまでは約98㎞となります。

このルート全体の走行距離は188㎞あるので100㎞以上連続走行しているのですが、このケースでは規定により割引は全く適応になりません。

と言うのも、間に適応外のルートを利用した場合、谷田部からの30㎞は距離に加算されなくなり、当然首都高の約60㎞も無効になるため、「98㎞しか走っていない」ということになるからです。

しかし、仮にこのコースで松本まで連続走行した場合は、三鷹から起算される216㎞が割引の対象となり、それ以前は一般のETC軽自動車料金でということになります。

もしこのコースで、出発が日立南太田ICだったとすれば、三郷までは105㎞。

当然ですがこの区間の105㎞は割引の対象となり、首都高は無効ですが、三鷹から再び距離がカウントされ、松本までの216㎞、つまり2走行分に割引が適応されます。

今回は首都高を例に挙げましたが、都市部などで先述の非適応区間をコースに織り込む場合は、予めこうしたことを念頭に置いて通行料金を考えておくと良いでしょう。

県道も高速の一部としてみなす区間も存在

定率割には下記のような特例もあります。

例えば、東側のコースに重点を置いて周遊し、「金沢付近までは一気に高速で」というコース取りをした場合には、下記のコースをルートに入れることもあり得ますね。

この中で特筆的なのは、例えそれが国道や県道であったとしても、指定のIC間の移動を含める「1走行とみなすヶ所」が設定されていることです。

ちょっとわかりにくい部分ではありますが、こうした優遇措置は定率割の良心的なところだと言えるでしょう。

この「1走行とみなすヶ所」はこのほかの個所に設定されており、NEXCOが発表している「1走行とみなすヶ所」の一覧を参照してルートづくりに活かされると良いでしょう。

平日走行は適応外

また、今回は土日祝日の走行を対象としているので、下の図のように残念ながら、平日を走行する場合は適応外となってしまいますが、平日にSSTRにご参加の方にも朗報を後述していきますので、そのままお付き合いください。

このように、金曜日深夜に適応区間内のICをくぐって土曜日に高速のICを出る場合や、日曜日深夜に適応区間内のICをくぐって日曜日に高速のICを出る場合など、ICの入りか出が土日祝日にかかっていれば、上記の通り連続100㎞以上の区間は割引の対象となります。

SSTRでこれを利用する場合、スタート地点からの朝方は良いと思います。

しかし、割引を目当てに、ゴールした日の夜中に疲れを押して無理に走行されるのは、事務局としてお勧めしません。

おうちの玄関から、同じ玄関に帰り着くまでがSSTR。

安全第一でお願いします。

休日・深夜・平日朝夕など、既存の割引との併用は?

高速移動路の割引には従来から「休日割引・深夜割引・平日朝夕割引」などがありますが、今回の「定率割」の料金と併用してさらに割り引かれることはありません。

ただ、100㎞以上の連続走行がある場合でも、既存の割引サービスの割引率が「定率割」の割引率よりも高く、通行料金が安くなる場合は、複数の割引サービスの中でも最も安価になる割引が適応される仕組みなので、これは早朝スタートするSSTRライダーには良心的と言えるでしょう。

 

乗り降り自由な定額プランではない点に注意

予約自体は走行日当日に高速のIC(入口)に入る前までに行えば良く、荒天や体調不良などで急に走行をキャンセルすることになっても、キャンセル料などが発生しない点は、これまでの「ETC二輪車ツーリングプラン」と同じで便利なところです。

しかし「ETC二輪車ツーリングプラン」では、一回の申し込みで2~3日は乗り降りが自由であったのに対し、今回の「定額割」では、利用する日ごとの予約申し込みが必要になる点が大きく異なります。

ですので、千里浜でゴールの余韻に酔いしれて「帰りの予約を忘れた」とならないよう、予め行きと帰りの2日分をそれぞれ予約しておくことをお勧めします。

予約には会員登録が必要

 「定率割」の利用に当たってはまず、NEXCO中日本「速旅(はやたび)」への会員登録が必要です。

画像参照元;ETC二輪車定率割引予約フォーム

ここには住所・氏名・年齢・メールアドレスなどの個人情報の他、ETCの車載器番号とETC番号の登録が必要になるので、事前にこれらをメモしておくとよいでしょう。

余裕を持ったご予約を

今回筆者も新規登録から実際に行ってみましたが、すべての登録に要した時間は約10分。

ただ稀なケースのようですが下記の写真のように、登録の反映に一週間かかる場合もあるということなので、やはり走行日の1週間前には登録を済ませておく方が安全だと思います。

画像参照元;ETC二輪車定率割引予約フォーム

SSTRに使うなら4月下旬まで待つべし

 4月2日現在、予約できるのは5月8日(日)分までの予約ですので、SSTRを走行する日の予約はまだできません。

 5月14日(土)以降の予約受け付けは4月下旬からとのことですので、ルーティングと合わせて、「定率割」の利用を検討するのもよいでしょう。

画像参照元;ETC二輪車定率割引予約フォーム

 

利点を活かしながら、ゴール後のお宿のアップグレードに?

お土産をちょっと奮発すれば、帰りを待つご家族によろこばれるはず。

今回は記念すべき10周年のSSTR。

うまく使えば、心とお財布に余裕ができて、さらに充実したSSTRになるかもしれませんね。

 

独自取材でわかった、「もう一つの展開」

多くの方々は、この春から始まった「定率割」は従来実施されてきた「ETC二輪車ツーリングプラン」にとって替わるものとして受け止められているのではないでしょうか。

筆者もそのうちの一人だったのですが、NEXCO広報の方に伺うと、実はそうではないようなのです。

電話取材でお話を伺ったところ、

 「定率割の実施と並行し、5月のゴールデンウイークあたりに間に合うように、ETCツーリングプランの詳細策定を急いでいる」という情報を得ました。

「発売時期などは明確にお応えできない」というお話でしたが、実施されるのは確実なようで、今後コロナの再拡大など突発事象がなければ、SSTR2022の開催までにはNEXCO各社から何らかのお知らせがあるものと思われます。

先述のように、「ETC2輪車ツーリングプラン」の場合はエリアが限られるものの、その中でルーティングにうまく合致するコースがあれば、2~3日間、高速道路が乗り降り自由になるのでルート策定の選択肢が増えることになります。

 さらに、「定率割」では適応日が土日・祝日に限られているので、「ETC2輪車ツーリングプラン」が平行して実施されるならば、平日ご参加になるライダーにも有利になるかもしれません。

どちらがお得になるのかを比べながらルーティングにうまく活かせるようになるといいですね。

これは期待しながら今後の発表を待つことにしましょう。

 

SSTRライダーの「定率割」積極利用が「普通車の半額常態化」への道を拓く?

2輪車の通行料金が現在のように軽自動車と同じになっていることについては、国会議員を中心とするプロジェクトチーム(以下「PT」)が、「2輪車の高速通行料金を普通車の半額に」というユーザーの声を形にするべく、20年という長きにわたり道路管轄各社や担当部局と折衝を重ねてきたところです。

つまり、今回の「二輪車定率割引」はそれを実現するべく、組み木細工のように一つ一つ積み上げながらその一部がようやく形になったのものだと言えます。

しかしこれが常態化するには、この先さらに時間がかかるようで、これからも様々な審議が続けられる見込みです。

今回の定率割の結果「利用者があまりいなかったよ」となれば、さらに常態化への道が遠のいてしまうことにもなりかねません。

冒頭にもお伝えしたように「2輪車定率割引」が目的とするのは『2輪車の利用促進や地域の活性化』です。

これまで10年、それを形にしてきたのがSSTRですので、ご参加の皆さまが有意義にお使いになれば、「二輪車の高速通行料金を普通車の半額化」への道を手繰り寄せることになるではないでしょうか。

 もしそうだとすれば、「SSTRライダーが歴史を変える」

大げさかもしれませんが、少なくともNEXCO各社の来年以降のサービス展開に良い影響を与えうるわけで、これはちょっとワクワクしてきますよね。

ココはひとまず『多くのライダーが積極的に利用していくことに意義がある。』と、建設的に捉えておきましょう。

「2輪車定率割引」に関するお問い合わせ先

・NEXCO東日本お客さまセンター (24時間365日対応)

TEL:0570-024-024 (通話料有料)
TEL:03-5308-2424(通話料有料)

・NEXCO中日本お客さまセンター (24時間365日対応)

TEL:0120-922-229 (フリーダイヤル)
TEL:052-223-0333 (フリーダイヤルがご利用になれないお客さま/通話料有料)

・NEXCO西日本お客さまセンター (24時間365日対応)

TEL:0120-924-863 (フリーダイヤル)
TEL:06-6876-9031 (フリーダイヤルがご利用になれないお客さま/通話料有料)

 

 

取材協力; NEXCO中日本 ・ NEXCO東日本