10回目のSSTR、初めての方も楽しく安全に
SSTRもおかげさまで10周年。
ありがたいことに「初回から参加している」という方もあれば、「SSTRにあこがれて免許を取ったので今年初めて参加します!」という方もいらっしゃいます。
参加者の方々のスキルが幅広いのもSSTRの特長。
🔰の方の中には、「何からはじめれば良いのかわからない」という方も少なからずおいでになるようです。
SSTRでは基本的に、日本の東の海岸から日本海に面した千里浜まで、長距離を走ることになりますから、はじめの一歩は、ある程度しっかりとしたルーティングの策定ということになるでしょう。
これをちゃんとやっておけば、初めての方でも道中の不安は軽減され、道中の安全にもつながります。
そこで、今回は地図アプリと表計算ソフトを使った、ルーティングと行程表の作り方を大まかに紹介しますので、各々のルートづくりの参考になさってください。
(※地図には著作権があるため、ここでは主に工程表の作り方をお示ししていきます。)
スタートまでは日の出時刻からの逆算で検索
SSTRは日の出の時刻がスタート時刻。
現代は便利なもので、インターネットで検索すればスタート地点の日の出時刻や、千里浜の日没時刻を簡単に調べることができます。
初めてのルーティング、まずは各々設定したスタート地点の日の出時刻と千里浜の日没時刻を調べて、この二つの時間をエクセルに入力することから始めましょう。
これを入力したら、次は自宅からスタート地点までの距離や時間をGoogleマップなどで検索していきます。
ここではスタート後の走行に有利になる3点の工夫を紹介していきましょう。
その3点は以下の通り。
① 日の出時刻前までにスタート地点へ余裕をもって到着するには何時ころまでに自宅を出発すればよいのかをGoogleマップなどで、そこまでの到着時刻を検索で調べておく。
② その上でまず、目的地をスタート地点最寄りで夜明け前に営業しているガソリンスタンドの場所を調べる。
③ そのガソリンスタンドを最初の目的地に設定し、スタート地点までの距離や所要時間も調べておく。
これは、道路は時間帯によって所要時間が違うためで、普通に検索してしまうと、検索した時点での所要時間が表示されて、日の入り時間までの走行時間の計算が合わなくなることも予想されるためです。
ですので、スタートまでは到着時刻検索を行いながらおおよその所要時刻を把握しておくとよいでしょう。
そして、最寄りのガソリンスタンドを最初の目的地とするのは、スタート後の給油行程を1つ省くことで、走行時間に余裕を持たせる狙いがあります。
地域によってそれが難しい場合もあるかとは思いますが、日の出の40分前~1時間前までには出発前の給油を済ませるように設定するとよいでしょう。
こうすることで、何時ころまでに自宅を出ればよいのか大体の目安がわかってきます。
海岸は夜明け前から混雑も…(設定時間にゆとりを)
次に、同じ要領でそのガソリンスタンドからスタート地点までの距離と所要時間をエクセルに入力します。
SSTR開催期間、特に土日は首都圏のメジャーな海岸は夜明け前からバイクで混雑することも多いのですが、スタート場所の駐車場の大きさ如何によって、ルールの範疇※で場所を変えるなど臨機応変な対応が必要となる場合も考えられます。(※地点登録は道路上ではなく必ず駐車場など道路上以外で行ってください。)
また、そうでなくともスタート前にライダー同士声を掛け合って、いろいろと情報交換する機会になるので、少し余裕をもってスタート地点に着けるような時刻を設定して検索すると良いでしょう。(※夜明け前ですので、現地ではエンジンを早めに切り、大きな声での談笑は控え、グットマナーでお願いします。)
そうしてここまでのことを踏まえていくと、例として下記のような表ができます。
エクセルを使ったことのある方なら恐らく簡単な操作だと思われますが、(ここでは)距離に関しては「F4累積距離+E5区間距離」を、到着時刻に関しては「B3到着時間+D4区間所要距離」を入力して、以降は単純にこれを繰り返すように式を挿入していけば、距離や時間の管理が容易にできるようになります。
距離と時間をマネージメント
以上まではスタートまでするべきことを逆算しながら表を作ってきましたが、スタート以降は先ほどの検索モードを到着時刻ベースから出発時刻ベースに切り替えて工程表づくりを進めていきましょう。
スタート以降の作表には、以下の5つのポイントがあります。
① 道の駅ポイントをカウントして、15ポイント以上になるようにすること。
➁ 休憩時間をしっかり確保できるように設定すること。
③ 燃費を把握し、余裕を持った間隔で給油できるようにすること。
④ ガソリンスタンドの営業時間を確認したうえで経路の中に組み込んでおくこと。
⑤ これらを網羅したうえで、日没前までに千里浜に無理なく安全にゴールできるようにすること。
これらの点を抑えながら表をつくっていきましょう。
ポイント獲得について
SSTRではゴールまでの時間が限られているので、この表を作ることで、各地点をどのくらいの時間に通過すべきなのかなどの目安を知り、タイムマネージメントができるので便利です。
下の表では所要時間や区間距離の把握に加え、道の駅ポイントを一番右側に配置して集計するように設定しました。
ここでの留意するのは、道の駅などでどれくらい滞在するのかも所要時間に加えること。
これを忘れると、ゴールまでの時間を大きく見誤ることになりかねないので、休憩の時間は忘れずに計算に加えておきましょう。
道の駅等でのポイント付与の目的
SSTRが一般的なツーリングと違う点は、ポイントラリーのポイントを既定の時刻(日没)までに集めてゴールするゲーム性を楽しめることですが、これはその多さや速さを競うことを目的としたものではありません。
道の駅や高速道路のPA/SAでポイントを獲得できるようにしていることでお分かりのことと思いますが、道の駅等でのポイント付与は参加者の皆さんにしっかりと休憩をとっていただきながら、ロングツーリングを安全に楽しんでいただくことを第1の目的としています。
特に今回は主に、「SSTRのために免許を取った」という方に向けて解説をしていますが、SSTRに慣れた方にも初心を思い出していただいて、極力無理のないルーティングを心がけてください。
燃費管理は大事
「ガソリンスタンドが地図にあるのに、たどり着いてみたら営業時間外で愕然とした。」
地方の町や村に出かけていくと、これはよくあることですので、ご自分の愛車の燃費を把握して、ある程度余裕を持った給油間隔を設定し、その範囲にあるガソリンスタンドの営業時間を確認して表に組み入れていきましょう。
Googleマップでは、ルート検索中にサイドパネル内にある「ガソリンスタンド」のボタンを押すと、目的地付近のガソリンスタンドが表示されます。
そこで地図上に表示されたガソリンスタンドをクリックすれば、スタンドの営業日や営業時間を知ることができるので便利です。
ここまで、ポイントや燃費について加味していくと、例えばこんな表ができてきます。
ここでご注目いただきたいのが燃費管理。
スタート前の最初の給油からの距離をカウントして燃料管理を行っています。
エクセル上の設定で、例えば表中の「山梨のSS」での給油時に「給油からの距離」とした部分には、〔=G12-G4〕という式が、そして、長野のSSでの給油時に「給油からの距離」とした部分には、〔=G16-G12〕という式が入力してあり、トータルの走行距離から前回の給油時の距離を引き算する設定にしてあります。
今回は1タンクでおおよそ200㎞+αの連続走行が可能なバイクでの走行を想定していますが、表の中ではかなり余裕を持った給油間隔にしています。
基本的に峠をを長く走る前などは、必ず山の手前で給油をするなど、不測の事態を考慮することも必要です。
そしてタイムマネージメントのため休憩時と同様、、給油時にかかる時間もしっかりと加えておく必要があるので、これも忘れないように表に組み入れましょう。
地図ソフトに落とし込む時の留意点
今回の執筆には、GoogleマップやYahoo地図ほか、いくつかメジャーな地図ソフトやナビアプリを使ってみました。
課金することでそれ以上を地図上に示せる場合もありますが、多くの場合基本的に、ルート上に登録できる地点は10件程度に限られているようです。
ご地元が相当な遠方であったり、多くのポイント獲得を目指される場合には、もっと複雑なルートになるかもしれません。
ですので作成した工程表を地図ソフトやアプリに落とし込む場合には、「前半」・「後半」と分けたルートを保存して使うなどの工夫が必要になるでしょう。
この辺りは、これまで多数回ご参加になった方で、「いやいやもっといい知恵があるぞ」と仰る方がいらっしゃれば、SSTRコミュニティーでご教示いただけると幸いです。
念のため、2ルート以上のルートを用意しよう
あくまでも「予定は予定」。
必ずしもスケジュール通りにいくとは限りません。
例えば降雨量や霧の発生など、天候によって通行できなくなる道もあり得ますので、ツーリングマップル等で地図上の情報をしっかり把握するのは大切。
それらを参考に、雨天用・晴天用など、複数のルーティング案を用意しておきましょう。
また、当日の状況によってそれらの案のいいとこ取りをするような臨機応変性も必要です。
安全を何よりも優先に考える
ゴールに向けて走る中、午後になると、気持ちが少々焦りがちになるSSTR。
ですが、先を争うレースではありませんから、何とかそこは冷静に。
今回、各区間の時間検索で〇:〇〇~△:△△と幅のある場合は、長くかかる方の所要時間を表に組み入れています。
そんな風に、ルーティング時から万一のトラブル対応に使える時間的なマージンを考慮して策定し、出走中も常に「ゆとりの創造」を心がけてください。
最後になりますが、小さいころ遠足でもよく言われたように「おうちに帰るまでが遠足」。
SSTRも同じです。
翌日帰り道をノープランでゆっくりとお帰りになる場合も、ある程度帰路の目安は決めておいて、そこでもやはり「無理なく安全な走行」を心がけてください。
また、今回はこのように例として作表の方法をお示ししましたが、必要に合わせていろいろとカスタマイズして、使いやすい形にしていただけたらと思います。
記念すべき10回目のSSTR。
無事故無違反でお祝いしましょう!
※お使いになる地図ソフトによって、表示する到達時間には差が生じるものです。
※地図ソフトやナビアプリが示す到達予想時刻はあくまで予想であり、実際の所要時間や到達時刻を示すものではありません。
※今回示している工程表は、あくまで参考例あり、この表の通りになるとは限りませんのでご了承ください。