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風間深志からのメッセージその3

  この様な今だから思うこと、、、、

 

 新型コロナウィルスに翻弄される社会の中にあって、僕たちはなぜ「千里浜」を目指すのか、、、?は、一見、何の関わりも無さそうに見えますが、見るべき本質はまた同じものなのかも知れない、、と思いました。

成長の名の下、豊かさに溺れる飽食の時代に、時折私たちに襲いかかる自然災害や疫病をやり過ごし、いかに人間は時代を越えて生き抜いて行くか、求められる本当の、人間の「知恵」と「行動」のあり方を、きっと僕たちは試されているのかも知れない。

 

僕たちの「SSTR」の本当の意味もまた、その真剣さと情熱の行動の向こう側にあり、ライダーとして、また1人の人間としての真価を試されるイベントなのではないかと僕は思う。

そんな事を考えながら2015年のSSTRが終わった後、参加した皆さんに送ったメッセージのことを思い出しました。サクッと読んで頂けたら、と思います。(風間深志)

 


 

「SSTR2015の皆さんへ、、、風間深志から」

 

 SSTR2015参加ライダーの皆さん、大変お疲れ様でした。

5月30日、とにかく長かった「千里浜」への道のり。そしてまた翌日の帰路も同じだけの距離を折り返し、無事に帰宅されたものと信じています、、。

 

さて今、僕の胸の内に、あの日あれだけ多くのライダー達が集まってくれたのに、せっかくのいいチャンスだったのに、多分伝え切れてなかったな、、? という、心の中のモヤモヤを感じています。

それは、SSTRは単に日本中のライダー達の集まる「お祭り」イベントではなく、我々が愛して止まないモーターサイクルの、日本のツーリング文化の進化と発展を担う重要な「ステータス・イベント」(自負)なのだ。と言うことを、ちゃんと伝えることが出来なかったのでは?という思いからです。

ステータスである証は、あの日、あの場所までの皆さんの素晴らしい「走り」にあります。参加者の殆ど総ては500km〜1000kmを不眠不休で走り抜け、千里浜のゴールを踏みました。手は痺れ、腰は痛み、眠気を押さえながら、眼前に広がる海に癒されながら、今日一日を精一杯に走り終えたことに感謝をしました。

そのようなライダーの一人一人と「GOAL」で握手を交わし、フィニッシャーズバッジを手渡すとき、疲れ切った彼らの口から次ぎ次ぎに「素晴らしい企画をありがとう!」の言葉を頂きました。ねぎらうべきはこちらの筈なのに、反対にねぎらわれ、涙が止まりませんでした。

なぜ、ライダーは苦しみに感謝するのだろう? なぜ、ライダーは厳しさと困難に立ち向かうのだろう? そして、そもそもなぜ、わざわざ不自由極まりのないバイクに跨るのだろうか?

 

僕は20代のジャーナリストの頃から、ずっと「バイクの魅力とは一体何なのだろう?」と考えて来ました。自ら北極や南極、エベレストにバイクで向かったのも、そうしたバイクの魅力や可能性について訴求したいからでした。その結果は、バイクの魅力は=自然の魅力なんだ!と言うことでしたが、その感じ方や楽しみ方は十人十色です。云えるのは、人は自然と一つに結ばれた時、言いようのない「至福」を感じるものだ,ということです。

 

SSTRは、朝に、東の海に昇る太陽を眺め、夕に西の海に沈む太陽を眺めるという、天体宇宙の一日の始まりと終わりの法則を、最も自然を身近に感じることの出来るバイクを使って、長丁場の時間軸と壮大なるスケールの空間軸で繋ぐ長旅を、参加者の全員で共有した一日でした。誰一人として手を抜いた者などは居なかったはずです。全員が厳しい条件下を全身全霊の集中力と満身創痍で戦った勇者なのです。しかも、この日の事の始まりと終わりは、誰もが憧れを抱く青く美しい「海」というお膳立てです。

日本列島の「横断」や「縦断」というダイナミズム携えながらの「海」との出会い、8kmのラスト・ランは誰においても感動的で満足のいくものだと思います。そのようなGOALだからこそ、「千里浜」は私たちの「聖地」と呼ぶにふさわしい場所なのです。

このSSTRに出場してくれた総てのライダーに、バイクに乗ることの自信と誇り、そして「優しさ」を持って頂けるものと信じています。バイクはフタを開けてみれば、厳しく、辛く、激しい乗り物です。だからこそ我々は、そこから見える「温かさ」や「美しさ」「優しさ」の本当に意味を知っているのだと思います。

 

また、SSTRは何処ぞの「お客様優待」ミーティングとは違います。自ら進んで設定したテーマに「参加費」を出して挑み、自己完結をしてもらうのが狙いです。当初、SSTRをはじめる動機となった、ある伯父さんライダーの「温泉も行き尽くしたし、グルメももう飽きた。行くところがないから、最近はバイクには乗らなくなったよ」と、そんな言葉に、僕は日本のモータースポーツを初めとするモーターサイクル文化の先行きに不安を感じました。モーターサイクル文化の根幹を作るツーリングのライダーにこそ、GPライダーになんか負けないほどのバイクに対する情熱と誇りを持って頂きたい!

 

そんな気持ちを心に抱きながらの「サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー」の主催です。今後とも仲間を誘い合って振るってご参加下さい。

今回、参加してくれた皆さんに心より感謝をします。

そして、本当のリスペクトを送ります。ありがとう!

 

 2015年6月5日 SSTRプロデューサー 風間深志 

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